原田知世ちゃんの「時をかける少女」です。
みなさん、こんにちわ。水の心です。
本日は「時をかける少女」です。
当然1983年度版です。
この作品は、小説を好きな方、映画版を好きな方、アニメ版が好きな方、多くのファンがいると思います。
私は、何年か前に何度目かの放送を観た際に「原田知世」ちゃん。”さん”ではありません、「知世」ちゃんにやられました。
1983年私は既に高校生なのですが、興味がアニメの方に行ってしまい、実写の映画を理解する所まで、追いついていませんでした。
40代過ぎてから、やっ と「男はつらいよ」等、人間ドラマが理解出来る様になりました。世の中、まだまだ沢山の観たり、やっておくべきものがあるのだろう、と思います。
wiki調べによると、大林監督のこの映画のコンセプトは竹下夢二描く様な少女で「大正浪漫」の様な映画が撮りたい、だったそうです。
古い道具や、瓦葺きの屋根、土壁、路地、神社のある風景。例えば古い日本家屋の、黒光りする柱、仏壇のある奥の畳の部屋のヒンヤリした空気。
確かに、全てが都会のビルの谷間で撮られていたら、どうなったのか。伝統を感じさせない1980年代のデザインは、かえって古くさくなっており、残念な画面になってしまったと思います。
大林版「時かけ」の世界が古くならないのは、これ以上は古くならない風景を撮っているからなんだ、と気が付きました。
「時かけ」は、青少年向けSFで、テレポーテーション、タイムリープ、過去現在未来を題材にして、使命を持って未来から来た「深町君」が主人公「和子」と知り合い、また未来に帰っていくというお話です。
また当時大林監督は、映画特撮の雄として認識されていました。「HOUSEハウス」「ねらわれた学園」「転校生」「漂流教室」などが話題になりました。
やはり本作でも特撮シーンは多いです。
冒頭、スキー場のシーン背景の満天の星空、列車の白黒シーンからカラーに戻る効果、前半の帰宅するシーンのマットペインティング、中盤学校の空の雲の流れ、ラストに向かっての一連の効果、コマ落としにオーバーラップ、トドメに、逆ズーム。
もっと色々入っています。
小道具の鏡は、ストーリーに大きな影響を与える、ゴロちゃんと和子のケガの原因となった物ですが、劇中、和子家の食卓を写す固定カットの中に、いつも置いてあり、最後まで道具として出てきます。細かいな~と思います。
私が、少し悲しく思ったのは、深町家のお爺さんお婆さんです。最後に見せる、お婆さん役の「入江たか子」氏の何とも言えない表情。
記憶はなくなったけど、「何か」が覚えているんです。お爺さんとお婆さんは、孫が帰ってきて、とてもうれしかったんだと思います。非常に残酷なシーンをじっくり撮っています。
そして、私が驚愕したラストシーン以降の「知世」ちゃんのイメージフィルムです。
何かの放映で観た際、驚きました。
「こ…これわ!」
曲に合わせ、出演者が、知世ちゃんを囲み写ります。深町君は抱き抱えて曲に合わせます。
多分、監督は最後のこのイメージフィルムを、とてもやりたかったのだ、と思います。
途中のセリフにもあった「大人になりかけの和子」、同じ様なデビューしたての「原田知世」氏。
こちらに向かってハニカミながら笑う、あの時期だけの「知世」ちゃんをフィルムに封じ込める事。
こちらが照れてしまう程、本当に決定的な、いい瞬間が撮れていると思います。
またユーミンさん作詞作曲「時をかける少女」ですが、「離れないでね、どこまでも追っかけるから、抱きとめてね」とストーリーに沿った、しかも「知世」ちゃんの声に合った、とても純真な可愛らしい曲です。
ユーミンさんの「時のカンツォーネ」という曲がメロディ違いの別バージョンで、1997年発表と知りました。
これが「大人の時かけ」なのかと、少し悲しい短調の曲でした。これまた初めて知った事実です。
なんとも愛情にあふれ、しっかり構築された世界を持つ大林監督ですが、私が学生の頃、講演会に行った事があります。
私は前の方に座り、あんまり興味がなかったので、ハスに構えて講演を聴くことにしました。
お話の前半はあまり記憶が無いのですが、後半から盛り上がります。
アメリカのディズニーランドに行ってきた。
そこでドナルドダックに遇った。
そのダックは、どうも足がいびつなんです。監督は気が付いた、ハンデのある人だったと。
そのダックは生き生きとして、入場者を迎えていたそうです。ハンデがあっても生き生きと働いていた、また働ける場所がある。
話の細かい所は、すっかり忘れてしまいましたが、監督の話は感動を与えました。
ハスに構えて聴いていた私も、すっかり清められ清々しい気持ちになりました。
小さい世界しか知らない私なので、気が引けるのですが、あの様に、語りに力のある、説得力のある人は見た事が無い。
何百人いるスタッフ、クセのある俳優、スポンサー、マスコミそれらをまとめて、挫折する事なく完成させ、しかも、観客が感動する物を作る。
正直、並みの人間ではできません。
腕一本一代限りの会社の社長さんです。
成長した主人公、和子は、未来人を救う薬品の記憶が強く残ったのか薬学に進み、深町君らしき人物と最初のスキー場と同じく、うっかりぶつかります。
帰ってきた深町君は、未来でうまく使命をやり遂げ、また記憶を消した上で帰ってきたに違いありません。
今回は誰の記憶も操作せず、全く予備知識なし、意図無しで帰ってきたのだろうと思います。
ゴロちゃんを断り、全てを待っていた和子のこれからが始まるのだと思います。
「過ぎて行くもんじゃない、時間はやって来るもんなんだ!」それでは、次の更新まで!