我慢なので。懐古中年、Goes on!

無職を続ける、好き嫌いの激しい中年が、80’sアニメ、音楽、映画等、趣味を懐古しながら、日々の生活を節約し、我慢を続けて行くブログ。

吉川晃司主演「すかんぴんウォーク」です。

  みなさん、こんにちわ。水の心です。

今日は1984年の東宝映画「すかんぴんウォーク」です。

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監督「大森一樹」氏

主演「吉川晃司」氏

  「山田辰夫」氏

  「鹿取容子」氏

音楽は宇宙戦艦ヤマトの「宮川泰」氏です。

サントラは未発表で、本編はなぜか未だDVD化していないそうです。

 

 その昔は、好きなジャンルがハリウッドアクションで、しかも、いい邦画に出合った事がなく、どうしても邦画に対して、あまりいいイメージを持っていませんでした。

どうして陰々鬱々、家庭内の暗い私小説の様な内容が多く、理解しにくく、テンポが悪いんだろう。

すぐに、やーたら長くてつまんない濡れ場になるし、任侠崇拝映画ばかりだし、ガンアクションも、4連発の電着銃のステージガンだし、と劇場で期待せずに観始めました。

 

 しかし、この映画が始まると、なぜか引き込まれていきました。

街の空撮から始まって、港の岸壁に集まる労務者達をロングで撮影し、

そこから地上に切り替わり、

泳いで沖から上がって来る、初々しい「吉川晃司」氏演じるユウジ。

すらりと長い手足で、街を駆け抜けて、あっという間に喫茶店のボーイとして店に転がり込みます。

 

 そして、先輩ウエイターで、ドン詰まり感あふれる歌手志望の「山田辰夫」氏演じるヨシオ。

ユウジと最後まで繋がりがある、売れない女優アミに「鹿取容子」氏、

茶店店長に「蟹江敬三」氏、

ウェイトレスに「高瀬春奈」氏、

同じアパートの住人に「平田満」氏、

ライブハウスのオーナー「原田芳雄」氏、

 

 かなり有名な人を配置し、出て来るいろんなキャラクターに生命感を与えます。

そして上記の人達を含め、出て来る人達のほとんどが、夢に挫折し、悩み、生活に追われて、社会の中に埋もれています。

 

 前半は、主人公ユウジが、下積みの中から歌手になるまでのサクセスストーリーです。

デビューしたての素朴な吉川氏が、主人公ユウジを、素で演じており、素直な表現に好感が持てます。

反対に、歌手志望の夢を追い続けるヨシオは、どんどん頭角を現すユウジに置いて行かれ、

ついにメジャーデビューする為、ライブハウスを去るユウジの、抜けた穴を埋めるために、ヨシオはステージに立ちます。

 

 ユウジの代打で歌うものの、そのあまりの歌唱センスの無さに、身内のバックバンドすらステージから降り、

ユウジの曲を聴きに来た観客は、暴れ、叫び、物を投げつけヨシオを批難します。

 そこで強烈に記憶に残るのが、観客に対して逆上し、開き直るヨシオです。

 

  人生で何回かは、あの様な場面に遭う、と思います。

自分に実力が無く、何もできず、つけ込む様に吊し上げられ、勝ち目も無く、ズタボロにやられるしかない時があります。

徹底的に謝るか、尻尾を巻いてトンズラするのが普通です。

しかし、ヨシオは、踏みとどまります。

 

 この映画は、青春群像劇で、ユウジがデビューするまでの間に、

沢山の「なり切れなかった人」、いわゆる「~崩れ」の人たちが出てきます。

その度に、ヨシオはユウジに「あんなになったらお終いだ」とつぶやきます。

けど、現実はほとんど「あんなに」なるんです。

 

 観た時は高校生だったので、良くわからず、その山田氏の演技やストーリーに何かを感じただけだったんですが、

長く生きてみると、世の多くの人は「こうありたい」と思いつつ、夢破れた人がほとんどなんだ、という事を知りました。

私もその一人です。

 

 その後、ユウジは、ヨシオと別れデビューしたものの、意見の違いから事務所をやめ、自分の音楽を探すために、閉じこもり、力を溜めていき、事務所を変え再デビューしヒット。ですが、スランプに陥ります。

 

 そして、なんと「キレ話芸」でライブハウスの顔になり、テレビ出演予定が入るまでになったヨシオと再会します。

2人は、お互いの立場を確認し、エールを送り、それぞれの道に戻ります。

 ラストは、スランプからの脱出を、イメージで表わし、曲と共にエンドクレジットが流れます。

 

  調べると、大森一樹監督は、本作含め、吉川晃司主演「民川裕司3部作」を作ったそうです。

今作で完結させず、次回につなげるその為なのか、

多くの登場人物に魅力があって、引き込まれていく前半部に比べ、

後半は、ブレーキがかかる様に、話が動かなくなり、イメージシーン重視になり、

新人の吉川氏に、一人芝居に耐えられる深みもあるわけ無く、観ていてダレてきました。グッとくる前半があるだけに、残念な作りです。

 

  この映画の同時上映は「うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー」です。

 そのため初公開の週末に映画館に行きました。

吉川晃司氏の人気は物凄く、立ち見が出るくらいで、周りの雰囲気も、アニメの子供中心の客層と違い、やたら「普通の」若い男女が多い。

とは言え、当時は私も十分若かったハズなのですが・・・。

地味なアニメファン、キャーキャー言ってる晃司ファンの不思議な劇場の客層でした。

 

 そして、何とか席を確保し、目当ての「うる星やつら」を見ていた時、

立ち見の吉川ファンの高校生位の少女の一言

「どうして、私がこんなにワケのわからないものを見なくちゃならないの?」

・・・。

 

 人生いろいろありますが、この「すかんぴんウォーク」は、隠れた逸品的アイドル映画なので「オッ、そういうのあった!」と思われる方、観る事の出来る方は、是非とも視聴をお勧めします。

 

 異常につまらないバラエティー番組や、公開時期に合わせた量産映画を何回も流すより、こういったキラリと光る映画を、高画質で放映、解説してくれた方が、絶対視聴率上がると思うんですが・・・

そうですか、ダメですか、ハイ・・・。

 それでは、また次の更新まで!