「昭和59年のうる星やつら2 ビューティフルドリーマ―」です。
みなさん、こんにちは。水のこころです。
今回は「昭和59年のうる星やつら2 ビューティフルドリーマ―」です。
言わずと知れた、1984年2月11日東宝系劇場公開のTVアニメ「うる星やつら」の劇場版二作目です。
公開から今年で36年、何度かメディアにも取り上げられ、原作ファン、アニメファン、押井ファン、カルトファン等々の多くの支持、解説、分析をされ、海外、国内でもインスパイアされた映画もあるという、人気のある作品です。
同時上映は、大森一樹監督、吉川晃司主演「すかんぴんウォーク」。当時、自分も、公開初日に劇場に行き、その館内の雰囲気は、過去ブログ内にありますので、参考までに。
作中やはり、引き込まれていくのは、世界崩壊後のコンビニ買出し、メガネの「創世記の詩」まで。
「そして誰もいなくなった」的ミステリーを、
昭和ノスタルジー学生生活を背景に、神秘的で奇想天外な映画に仕立てたのは、やはり監督の才能で、
その後の、活動展開を見ても、TVアニメのワク飛び出しちゃって、遠くに行ってしまったのも仕方無しと思います。
一方、原作の高橋留美子氏は、多くで語られている様に、ルーミックワールドを再現し膨らませた「オンリー・ユー」に対して、「ビューティフル」には、大変な違和感を感じてしまう。
当時は、「うる星」には色んな刊行物があり、プロデューサの著述だったと思うのですが、試写の後、窓の外を見て
「・・・雪・・白いですね・・・」とコメント。
というのを読みました。(出典書籍紛失でうろ覚えなので間違ってたらスイマセン)
(今回、ネットを掘っていったら、どうも「オンリー・ユー」の時から脚本か演出の?改ざんや、「ビューティフル」も、自分の脚本を優先した等から、結局、自分の表現でどうしても、やりたかったと。
となるとやっぱり、当然社会では色々大変な事になるよなぁ~という感じです。)
また、混乱と虜囚を具体化した、「夢の繰り返し」という演出は、押井作品の中でよく見ます。
映画中では、ラムが消えた状況で、あたるは何度も愛を試されるのがそれで、
また、その中にお蔵入りになったシーンがあり、まぁいつか世に出るだろうと思っていたのですが、公開から数十年、未だに公式に出ていない様です。
80年代当時、週刊少年サンデー掲載作品は、かなりの数がアニメ化されており、それに合わせ「少年サンデーグラフィック」というTV版、原作版とリンクしたムック本が出版されており、当然、うる星やつらのグラフィックも、刊行されていました。
その10巻目、昭和59年3月発行 定価780円の「うる星やつらビューティフルドリーマー」映画特集号に、このカットされたシーンが掲載されています。
地球最後の日、移民宇宙船団が出発しようとしている最中、地上に座り込み、動こうとしない白髪の老人がいる。
諸星あたるだ。
あたるは、沢山の思い出が残るこの地球を捨て、脱出する気にはなれなかったのだ。
が、どうしても一緒に過ごした大事な人の名を思い出す事が出来ない。
そこにチェリーが出没し、一喝。「愚か者が!」
愛する人の名を意地でも呼びたくないあたると、
ラムの夢を守ろうと、冥府魔道に落とそうとする無邪鬼。
全貌に気が付き、あたるを促すチェリー(錯乱坊)。
(DNA螺旋階段クライマックスに向けての、前述の演出エピソードの一つなのですが、玉手箱がある、という事は、これが最後のエピソードなのか、とも思います。)
DNAの螺旋階段で、少女が話す。
「目が覚めたら、どうしても会いたい人の名前を呼ぶの」
「名前を呼べない人は、きっと目が覚めるのが嫌なのね。」
(終わらないTVシリーズへの皮肉?)
とうとうあたるは、最後にラムだっちゃさんの名前を呼んで、現実に帰る。
そして、作中の永遠の学園祭の前日は終わり、新しい一日が始まり始める。
「ホンマ、あの人等と付き合うのは、並大抵の事ではありまへんで・・・行こか・・・」
映画の終わりを告げるタイトルと同時に、世界も始まる。
終わらない夢を終わらせ、現実に戻ったが、そこはいつも通りの終わり無き、うる星やつらの世界。
という、監督自身の本音の吐露と、さよならとこんにちは、に隠された二重構造。というなかなか凝った作りの、映画です。
と、まぁ高校の時に見た幻を、オジサンになって今回ブログに書ていたら、ネット上で、
原案:押井守「夢みる人」
本広克行監督「ビューティフル ドリーマー」
2020年11月公開というコマーシャルを発見。
原案:押井守「夢みる人」??
監督の本広氏は、ほぼ私達と同世代。
Wikipediaから、熱心な押井フォロワーであり、とうとうやりたかった事にチャレンジしたという印象です。
観れば、あの頃の自分に逢えるかも・・・知れない。・・ナンテネ。
気が付いたら、もう押井監督も70歳手前。
それは自分も年を取るハズです。
なんだかもう、自分を含め、色んなものが歴史にうずもれて、色褪せていってますよ、えぇ!頑張れワシ!
そんな所で、次回の更新まで!