我慢なので。懐古中年、Goes on!

無職を続ける、好き嫌いの激しい中年が、80’sアニメ、音楽、映画等、趣味を懐古しながら、日々の生活を節約し、我慢を続けて行くブログ。

ジョディー・フォスター主演「コンタクト」です。

 みなさん、こんにちわ。水の心です。

今日は97年のジョディ・フォスター主演「コンタクト」です。

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原作は、天文学者で作家の「カール・セーガン」氏。

80年に監修した科学ドキュメンタリー「コスモス(COSMOS)」は、世界中でブームになりました。

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スターウォーズ」「スタトレ」等のSFブームや、スペースシャトル打ち上げに至る宇宙再開拓ブームを背景に、特殊撮影のレベルの高さから番組はかなり人気がありました。

(画像は、81年当時の雑誌スターログの折り込みポスターです)

 

 監督は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「フォレスト・ガンプ」の「ロバート・ゼメキス」氏。

 

配役はSETI(地球外知的生命体探査)を研究する

主人公の科学者役に「ジョディ・フォスター」氏。

 

彼女を取り巻く魅力的なキーマンも多数出て来ます。

 

理解者で友人ジョス「マシュー・マコノヒー」氏。

同僚で知恵者ケント「ウィリアム・フィクナー」氏。

風変わりな大富豪で協力者ハーデン「ジョン・ハート」氏。

上司で敵対関係のドラムリントム・スケリット」氏。

 

 映画冒頭、地球表面からどんどんカメラが引いていき、太陽系、そして私達の太陽系を含む銀河系が遠くなっていきます。

更に引いていくと、ガスの塊を通り越し、暗黒から光の中へ。そこからズームアウトすると、少女時代の主人公の瞳の中に変わります。

なかなか象徴的で凝ったシーンです。

 

更に、上記の映像のバックには、1990年代の地球上で流れるラジオやTV放送が聞こえます。

それが地球から遠くなればなるほど、その音の内容は1960年代、1940年代と古くなる。

電波が時間をかけて宇宙を走るので、地球から離れれば離れる程、古い年代の放送が聞こえるのです。

これはなるほどです。

 

 そんな導入部が終わると、主人公は、プエルトリコアレシボ天文台で、今後重要な人となる「ジョス」と出会います。

ジョスは神の存在を実感するという「神秘体験」を持っており、それを主人公に話します。

ですが「現実主義者・科学信奉者」の主人公は、それを理解する事が出来ません。

 

 この映画は

「科学と宗教の対立」「神を信じるか?」

が大きなテーマになっています。

 

 原作者セーガン氏は「輪廻転生」などの一部の現象を除き

懐疑主義」(全てを疑う事から始まる)で

「科学信奉者」であった可能性が高く、まるでこの映画の主人公エリーの様です。半分は自身を投影していたのかも知れません。

 

 そのガチガチの科学信奉者の主人公が、地球外知的生命体探査の中で

「わからないものは分からない。しかし、あるものはある」といった

「超自然=神の存在」を、

第五種接近遭遇し、受け入れていく、という逆転のストーリーです。

 

キリスト教信者にとってそれは、やおよろず的日本人が考える以上に重要な結果ではないか、と思われます。

 

 電波望遠鏡での探査中、こと座のα星、ヴェガからの「規則性のある信号」を発見する主人公と仲間達。

 

「宇宙からの信号によって知的生命体の存在を知る」という導入部は、

1996年米映画「インデペンデンス・デイ」と同じで、ド派手にエイリアン登場なのか、それとも、地味にこじんまりしたサスペンスになるのか、どう転ぶんだろう、と思って観ていました。

 

しかし、 そこからストーリーは急にハード路線に走り出しました。

 

 規則性のある信号をモニターに写した所、出て来たのはなんと

「カギ十字とヒットラー

1936年ベルリンオリンピックの試験TV放送です。

ここは、映画冒頭の部分が伏線になっています。

 

1900年代のラジオの試験放送では無く、いきなりナチスを入れて来る辺り、オジサン強烈胸ワクワクです。

 

 ストーリーが進むにつれ

「地球外知識生命体の電波をキャッチして、その事実が発表されたら?」

というシミュレーション映画にもなってきます。

ゴールドラッシュの様な大きな出来事に、無知な大衆は自分の欲望や夢を乗せて、浮かれ騒ぎます。

 

露骨にあきれる主人公。

 

ここにも原作者セーガン氏の「無知は罪」という考えや

「科学と宗教の対立」が見え隠れしてきます。

 

 国家安全保障局や大統領ブレーン達は緊急集合。

大統領による会見が放送され、国家レベルで物事が動き始めます。

 

 そしてその「信号」には、何かのプラントの設計図が隠されていた事がわかり、そのプラントが完成すると、露骨に米国1960年~70年代のアポロ計画のパロデイやオマージュシーンが出て来ます。

 

そして、アクシデントによる失敗。

 

 すると映画の雰囲気が「リドリー・スコット」風SFになり、北海道に日本企業が作った第2のプラントで、主人公は未知の「搭乗」実験を開始します。

 

どうも、この日本人の描写が、いつのも勘違いハリウッド風です。

それが良いのか悪いのか、これから開始される実験に、増々ビジュアル的に神秘性を与え、サイエンスフィクションの度合いも強くなりました。

 

 そして実験開始。

 

映画は68年の「2001年宇宙の旅」になりました。

クーブリックは「スターゲート」の描写で、前人未到の映像を作り出しました。

その点で、後発であるこの「コンタクト」が、主人公ジョディ・フォスターのセリフと演技に頼ってしまうのには少し拍子抜けしました。

 

 結局、遭遇した知的生命体は、いくつかの示唆をした後、先進の技術の享受を期待していた主人公に対して

「気長に行こう」

「人類は孤独ではない」と残し、実験は終了します。

 

 無事生還した主人公ですが、接触の記録が全く残っていない事から、諮問委員会にかけられ、虚偽なのか真実なのか?問いただされる事になります。

 

その中で「実証主義」である科学者ゆえ、主人公はそれを証明できない事を証明する事になり、お話は振り出しに戻ります。

 

ですが、諮問委員会会場外には、大群衆が集まっており、主人公の体験を信じている、と応援してくれます。

 

ジョスは、科学、宗教も「目指すものは真理の探究」である、

と主人公を励まし、

遠回りではあったが、主人公は「超自然=神の存在」を体験する事が出来た、というラストです。

 

 また、いい感じのどんでん返しもあり、見て良かった作品だと思いました。

 

 またSFファンには面白いキャスティングがあり、ハーデン役の「ジョン・ハート」とドラムリン役の「トム・スケリット」は、79年米映画「エイリアン」のあの「ケイン」と「ダラス船長」です。

同時に出るシーンは無かったと思いますが、とても懐かしいです。

 

 少し気になったのは、この映画の中では「世界=米国」という所で、

知識、資本、人材、全てがAmerica is No1!という風に感じました。

「そういうもんだヨ!」

とは思いますが、19年前の米国はここまでこういうものか~と、感じました。

 

 真面目なSF映画で、権力争いのドラマでもありますが、テーマに沿って、上手くまとめられています。

 

 また、現在原作小説は絶版で、Amazonで古本が上下巻で販売されており、良作品としてレビューされています。私も機会があれば読んでみたいと思っています。みなさんもいかがでしょうか?

それでは、次の更新まで!